CAST TALK
※ネタバレが含まれますので、本編視聴後にご視聴ください。
MASTER TALK
魔王のニエ様!の続編の当作品ですが、本当のところを言うと、前作で一旦終わりかなと考えていました。元々前作も二話で終わる予定が、二話の収録が終わった時点で三話の台本が完成、全五話になったものなので。
なのに、何故続編を作ることになったのか。
思いついたから、というのも勿論あるのですが、あまりにも目白が不憫だったから、ですね。
最初に考えた時点では少年漫画の主人公にありそうな熱血漢で若干ツンデレのイメージで書いていました。
ところが、徐々に登場人物も増えていき、キャラクターが確立されてくると、いつの間にか目白は、ヒロインのことが心配過ぎてストーカー気味、しかもヒロインにスルーされている状態に(笑)
白毘じゃないですが、このままだとヒーローなのに高スペックのストーカーで終わってしまう…!ということで、続編を書くことにしました。
今回の主人公は葉月、というより目白と葉月です。
それに加えて、前作でやられ役だった魔王、見せ場がありそうで少なめだった雷信にも出番を増やそう!→ハクは前作でそこそこ動いたからいいよね!で今の形になりました。
目白が仕事のようだとはいえ、いくら言っても耳を貸すことのない葉月にどうしてそこまでするのか。
前作、特に一話目二話目を書いた時点では葉月にことごとくスルーされる目白が面白くて書いていただけなので、ほぼ後付けの疑問を、今回の続編でそこそこ消化できたんじゃないかなと思います。
葉月の方も記憶はないものの、目白の事を心のどこかで憶えていて、目白に何を言われてもいまひとつだった。という感じに上手くまとめられたんじゃないですかね!(笑)
……俺の創作は基本的にいきわたりばったり、加えて、登場人物の過去は後付が殆どです。
雷信、魔王、白毘にあたってもそう。
前作で無理矢理、使いの契約を結ばされご立腹だった魔王様は封印されてたせいで昔のように力はないし、しかも食べようと思っていた人間の、しかも女の子にけちょんけちょんにされて少し威厳がなくなっておりましたが、今回ザ☆魔王!感を出せて少し威厳を取り戻せたかなと思います(笑)
最終的に意外と犬でも楽しいなー、昔の魔王の時とは違って怖がられないしなー、それに何だか穏やかな気分でいられる。そういう意味では彼もようやく幸せを掴めたんじゃないですかね!
雷信は元々頭足人のイメージ(笑)烏天狗で固まって来たのは、キャストさんが決まって
からです。
過去で魔王が指摘していますが、彼は天狗堕ち、天狗の世界から追放されて目白家の式になった妖です。天狗は風使いのようなイメージがあったので、あえて雷信に雷の技を使わせて異端さを出してみました。
風ではなく、雷を纏っていることで、仲間から「あいつはよそ者じゃないか」となかなか馴染めず、半ば家出中だったところを目白家の当主に式にされてしまった、というところかなと思っています。雷を纏っているのは雷の妖怪と天狗のハーフだからかなと思っています。因みに、白毘とは昔馴染みです。
さて、俺の演じたハクこと、白毘ですが、彼のイメージは白蛇で山ほどもある大蛇です。元はとある神の使いでしたが、人間の女性と恋に落ち(本人曰く、興味を持っただけ)、その女性を虐げた人間を殺してしまった為に身に穢れを受け、鬼と化してしまったという設定があります。元は葉月の力を虎視眈々と狙っていましたが、意外に出たとこ勝負でクール葉月に惚れ込んだようで、もうニエの力を狙おうという気分ではないみたいです。
目白と葉月のお話に戻ります。
今ではクールな葉月ですが、幼少期は素直で無邪気、そしてちょっと泣き虫な普通の女の子でした。
変なものが視える、という点を除いて。
目白との共通点がそれなわけですが、目白には理解者がおり、葉月にはその理解者がいない。そういう意味で、目白と葉月は強い繋がりを持つことになりました。
幼少の葉月は自分と同じく視え、辛いことがあると励ましてくれる目白(ヨル)のことが本当に大好きで、信頼していました。なので、目白が忘却の術をかけ、それが中途半端なものになったせいで、葉月の周りの人間は目白の事を知らないという、だが自分は確かに目白百夜を憶えている、しかしそれが周りの言ういつもの幻だったとしたら…?というショックに耐えられず、目白の事をすっかり忘れてしまったわけです。
目白はというと、葉月に本当は忘れてほしくない、傍にいたいという気持ちがぬぐい切れず、自分の覚悟が足りなかったせいで術が中途なものになり、傷つく葉月の姿を見ていられなくて逃げてしまった。ところが、ニエの証の発動の知らせを受け、彼女の元に帰らざる負えない、いざ覚悟して帰ってみると、逐一報告は受けていたものの昔と変わってしまった葉月の姿に目白は目白で相当ショックだったのではないかと思います。
前作でニエの証が式持ちの証に転じ、さあ、もう自分のことを思い出しても平気だとなった時に、目白はふと怖くなります。
――もしも、思い出して葉月に嫌いだと言われてしまったら?
魔王が「自分のためだろう」と指摘したのは目白のそういう弱さの指摘です。
結局、なんだかんだと理由をつけ、葉月を避ける様になってしまう目白に事情を知っている雷信は大分やきもきしていたと思います。二人の事を温かく見守っていたのは雷信なわけですから。
皆が大体事情を察している時に、葉月以外で全く知らない人物が一人。
そう、白毘です(笑)
ハクからしてみれば、「何だか知らないが、目白(ストーカー)がうじうじとしている」=「気味が悪い」
目白とはほぼ初対面で、どちらかというと先代に面識があるだけなので、本当にハクは置いてけぼりを食らっています。最後の方では駆けつけてみたら何故かラブラブになってるんですけど!?という。
また、自分が犠牲になればいいという目白のエゴと、たとえ振り払われても手を伸ばす葉月がテーマで書いた今回の作品ですが、いかがだったでしょうか。
長々と書きましたが、実のところ、続編を書くにあたって後付設定ばかりになってしまいました。
なので、大団円を迎えられまして俺としても
かなりほっとしております。
今回前作に続いて、続投して下さったキャストの方々、急な募集に反応して下さったマルチキャストの皆様、そして素敵な絵をデザインして下さった絵師様、視聴して下さる方々、本当にありがとうございました。
皆様のお力のおかげで、無事に完成することができました。感謝しきれません。
それではまたどこかでお会いしましょう。
谷山イチ